損害賠償は無縁ではない

損害賠償請求は、企業や法人に関連する言葉のように思われがちです。しかし、個人事業主にとっても身近な事象であり、常に気を付けていなければなりません。
例えば、自分自身が他の個人事業主や企業に雇用してもらう際、契約書を取り交わすことになります。仕事を請け負った後で締結した内容に違反してしまうと、賠償責任を負わなければならないことがあるのです。もちろん、しっかりと定められた仕事を達成しないようなことがあれば、話は別でしょう。しかし、中には「新しい仕事を請け負ったものの、事前に聞いていた業務内容と著しく異なったので、契約期間の終了前に退任したい」といった事例が発生することもあります。一見するとあまり問題のなさそうな対応であっても、契約内容によっては損害賠償の対象となる可能性があるのです。
問題を防ぐためには、契約書を必ずよく読むこと・最終的な成果や任期の終わりといった、「結末」の部分についてよくよく検討することが大切です。また、残念ながら事業に失敗して負債を負ってしまって廃業を余儀なくされた場合、個人事業主であれば「無限責任」と呼ばれる責任が生じます。会社として保有している資産だけでなく、個人の財産を使ってでも支払いを行う義務があるのです。
個人事業主は、法人と比較すると一般的に信頼性に欠いていると判断されやすい傾向にあります。巨額の借り入れを行うケースは多くないと考えられますが、収益や借金の計画については、決して疎かにせず運営していくことが大切です。損害賠償や責任というものは、決して企業にのみ課されるものではありません。